建築に携わり40年を超えた今、どんどん純日本風の家が高価なものとなり、
日本人でありながらそこに住めない現状に、ある意味儚くもあります。
畳の厚みも、本襖の構造も知らない日本人が大半を占めるようになって来ました。
マンションに和室があった頃、畳はスタイロで発泡スチロール。
襖は段ボール。天井・壁は全てビニールクロス。
そして、そのマンションの間取りの中でさえ、今和室が無くなってきています。
こんな中で、私は少しでも「和」の文化を伝えようと、自分が出来る範囲で良いからと
想い、一つの運動としてこの協会を設立してみようと考えました。
私は日本の庭園と言うものが好きでたまに、大きな庭園の写真集を図書館で見ます。
庭園の片隅にある和室に、廊下を挟んで雪見障子とか市松模様の障子があります。
その障子を境に、外から太陽の光が差し、畳に雪見とか市松の陰影を映し出します。
これぞ、日本の「詫びさび」の世界です。
格子状に組まれた木枠に和紙を互い違いに貼る。その奥行きの違いで畳に
映し出す陰影の濃さが変わる。
本当に素晴らしい世界だと思います。
こう言う「詫びさび」も、ある意味日本の文化のひとつでは無いでしょうか。
私自身、木枠で組まれた格子が大好きでそこに色々なデザイン的な要素を
組み入れたら、そこから又新たな「モノ」が生まれるのではないだろうか?と思い
格子、和紙パネル等々を実際制作しました。
この先もまだまだ、「和」と建築を絡めたデザインを創造していき、日本の文化に
貢献していきたいと考えます。
この様な私の考えに賛同して頂ける方がいらっしゃいましたら、是非とも共に
和文化の推進に寄与していきませんか。
小野 徹也